ファッション業界の影を浮き彫りにした映画『ザ・トゥルー・コスト』を観て

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はじめに

ファッション業界の闇にスポットライトを当てたドキュメンタリー映画「ザ・トゥルー・コスト 〜ファストファッション 真の代償〜」を渋谷UPLINKで観てきた。

この映画は、行き過ぎた大量生産のせいで、ほぼ使い捨て同然にまでなってしまったファストファッションにメスを入れた映画で、主に欧米向けのほとんどのチープ・クローズを作っているバングラディッシュや原料の綿花栽培地であるインドなどでの取材を元に、製造に携わる人たちの劣悪な労働環境、低賃金長時間労働、化学薬品の垂れ流しによる環境汚染や遺伝子組み換えコットン農家の悲惨な現状など…を浮き彫りにしている映画です。

ネタバレになることもあるが、多少内容を知ってしまったからって、観ても面白くないといった種類の映画ではないので、書くことにする。

なので、ネタバレはNo!って方はこの記事は読まないでください。

『ザ・トゥルー・コスト ファストファッション 真の代償』予告編

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ファストファッションとは、低価格かつ短いサイクルで次々と生産・消費されるファッションビジネスの形態とそれらを販売するショップ、商品のことを指します。いつからか、安くて速いファストフードをもじってそう呼ばれるようになりました。

今、安価なファッションは若い子たちを筆頭に人気を集め、世界中で巨大な産業となっています。

かつてのアパレル業界では、季節ごとにラインナップを揃えるメーカーがほとんどでした。つまり、春夏秋冬ごとに商品を新しく出荷して、トレンドを作り出していたのです。

ところが、ファストファッションは違います。一週間後にショップに行くとディスプレイがガラッと変わってることもしょっちゅうです。しかも安い。いや安すぎる。そんな、消費者にとって一見いいことづくめのように見えるファストファッションは、「世界の縫製工場」バングラデシュなどの悲惨な製造現場によって支えられているのです。悲惨という言葉では足りません。血の代償とも言える本当のコストが商品ひとつひとつにのしかかっているのです。

それでは、予告編(YouTube)をご覧ください。

映画『THE TRUE COST』はなぜ制作されたのか

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(出典: なぜ『ザ・トゥルー・コスト』を制作したのか?アンドリュー・モーガン監督メッセージ

アンドリュー・モーガン監督がインタビューで語っていますが、この映画を制作しようと思ったきっかけは、2013年4月24日、バングラデシュの首都、ダッカ郊外の8階建商業ビル「ラナ・プラザ」が崩落事故を起こし、1100人以上の犠牲者を出したという記事が翌日のニューヨーク・タイムズの記事に掲載されたのを読んだからだそうです。

ラナ・プラザは商業施設の他、縫製工場も入っており、事故前にビルにひび割れが発見されていて危険視する声があったのにもかかわらず、大勢の工員たちは中の職場に戻るよう指示され、それに従った結果、尊い命を失う結果となりました。

映画では、当時のニュース映像が流れ、多くの遺族たちが家族を探し泣き叫んでいる光景が映し出されます。

モーガン監督はこの記事を読み、自分の着ている服は事故で亡くなった彼らが作っていたことに気づかされます。そして、自分が無知だったことにゾッとした、と語ります。そのことが発露となって、映画を撮ることになる。

監督は最後に語る。この作品は罪悪感や重い気分を抱くための作品ではないのだと。見つめたことのない世界への招待状だと。服を買うだけでも「いびつな世界」に参加することになる。目と心を開いて、議論の幅を広げ、皆で知恵を出しあえばいいし、命を奪うより、支える行動を選ぶのです!と。

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バングラデシュ&インド 低賃金長時間労働と環境汚染問題

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下請けとはいつの世もどこの場所でも足元を見られ、搾取される運命にある。超低賃金労働は労働力の搾取である。タダ働きに等しい。が、次の一言をちらつかせ低所得労働を強いられる。「イヤなら別にいいんだよ、他にも頼むトコロいっぱいあるから…」と。

バングラデシュの首都ダッカにはたくさんの縫製工場が立ち並び、世界中からくる注文の服を縫い上げている。そのほとんどが貧しい女性たちだ。朝から晩まで1日12時間以上働かされ、賃金はたったの日給3ドル!ほとんどの工場では労働組合も団体交渉権もない。また、労働組合があったとしても、組合長が買収されたり圧力がかかり、機能していないに等しい。

ただ、一方で、ラナ・プラザ倒壊事故後、デモが頻繁に起こるようになり、最低賃金が77%も上がったという映画にはない明るい後日談もある。(ソース下記)

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映画に出てくる20代工員の女性、シーマは一児の母である。朝から晩まで工場で働き、狭いバラックのようなところで寝泊まりしている。ある時、工員が立ち上がり経営側に賃上げ要求を突きつけた。結果、要求は無視され、呼び出されてモノで胸やお腹などをぶん殴られ、壁に顔を打ちつけられたのだと涙交じりに話す。

また、カンボジアのプノンペンで、繊維工場の労働組合が賃上げを要求し街でデモをしていたところ、警察が何発も発砲するという事件が起こった。さながら市街戦が起こったかのようで、この様子は映画でも取り上げていて、逃げ惑う工員たちが映し出されています。

バングラデシュでも、繊維工場労働者のデモへの発砲・逮捕劇が起こっている。何しろ、国の全輸出収入の70%を繊維業が占めるバングラデシュでは、労働組合のストライキなどに政府や警察が介入できることになっているのだ。

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服を作る工場では毎日、大量の化学薬品が使われる。使用済みの汚染水はというと、写真のように何の処理もされることなく川に、そして海に垂れ流されていく。この川では子供たちが裸足で遊び、川の水は農業用水としても使われる。それらの農作物を食べたらどうなる? 海ヘ垂れ流して、そこで穫れた魚介類を食べたらどうなる? こういった川が流れる街や村では、癌患者が大量に溢れ、先天性の重度の麻痺や奇形なども頻繁に起こっている。が、医療を受けさせるお金がないので、母親も子供の死を待つしか無いのが現状です。

映画ではまた、インドのガンジス川支流の汚染も紹介されている。インド人にとって、ガンジス川やその支流は沐浴や祈りの儀式を行う神聖な場所だ。にもかかわらずインドには、工業排水を管理する法律がないため、ほとんどが川にそのまま廃棄されている。ちなみにインドの首都ニューデリーは、PM2.5(微小粒子状物質)濃度が世界最悪レベルである。

日本でだって、こういう経験はしてきたはずだ。学んできたはずだ。そして、今でも訴訟は続いているのです。

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こちらの女性は、皮革工場が垂れ流す汚染水のせいで皮膚にダメージを負ってしまっている。

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化学薬品などの汚染物質で汚れた皮革工場を裸足で歩く工員

衣服の原料、遺伝子組み換えコットンと化学肥料・農薬被害

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ファストファッションに限らず、多くの衣服の原料にはコットン(綿)が使われます。

過去記事「インド産コットンは安全か? – インド綿栽培の危ない現実」でも書いたが、世界のコットン出荷量世界第2位のインドでは、そのほとんどがモンサント社が開発したGM(遺伝子組み換え)綿です。インドの種苗会社マヒコは1999年にモンサント社に買収され、細菌由来の殺虫性毒素が組み込まれた「Bt綿」は、綿花の天敵である蛾の幼虫が近寄らないように開発されたものだったが、その実、他の新たな害虫や立ち枯れ病が発生して、結果、大量の農薬を撒かなければならず、農家は経済的に大打撃を被った。何しろBt綿のタネは在来種の約4倍もする。インド政府の施策によって市場に出回るのはほとんどすべてがBt種だったため、仕方なく農家は借金をしてタネを買う。その結果がまさかの不作である。この結果、Bt綿栽培農家では自殺者が急増した。タネと同じモンサント社が販売する除草剤「ラウンドアップ」を飲んで畑で自殺するというのだ。

ベトナム戦争で使用された枯れ葉剤(ベトちゃんドクちゃんを生んだ悪名高き猛毒)を作った会社が作るこの除草剤も猛毒で、マスクや手袋で厳重に防御することが必要だ。にもかかわらず、インドでは、上写真のようにマスクも手袋も付けずに除草剤を撒く。

映画では、アメリカ・テキサスのオーガニック・コットン農家の方がインタビューに応じていて、オーガニックのこれからの必要性を訴えている。

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ゴミの山と化す使い捨てファッション

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うず高く積まれているゴミの山、これ全部、衣服なんです。

大量生産はイコール大量消費で、イコール大量廃棄なんです。燃やせばダイオキシンなどの有害ガスが出ます。製造から販売、消費から廃棄に至るファッション・アパレル業界が排出するCo2の量は石油産業に次いで第2位の規模なのだとか。

服の価格は数十年前とは比較にならないほど安くなっているが、低価格になればなるほど、環境への負荷は高まっていくという皮肉な結果が待っているのだ。

映画を見終わって・・・まとめ

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映画を見終わると、涙ぐんでる自分がいました。それほどまでに、服を作っている人たちが悲惨な状況に置かれていることを知りました。

また、この映画は日本語版の副題に「ファストファッション 真の代償」とあります。映画にもH&MやZARA、FOREVER 21にユニクロといったお馴染みのブランドが出てきます。ではこの映画は、これらのブランドだけの問題として扱っているかといえば、決してそうではありません。セレクトショップで売ってる洋服だってそうかもしれないし、高級ダウンジャケットだってデニムだってそう、大手スーパーで売ってる服も、実際はどういった過程で作られているかわからない。

いや、もっと広く考えると、安い商品は服にかぎらず、その先には貧しい人たちを踏み台にして出来上がっているのかもしれないのだ。

かといって、罪悪感や重い気分を抱く必要はないです。それは最初に書いアンドリュー・モーガン監督の言葉のとおりです。ただ、この映画に描かれていることを全く知らないままだったら、「安い!ラッキー!!」としか思わず、買い続けていただろう。

やはり、そーっと離れる必要があるのかもしれない。不買運動などは必要ない。安すぎる服を頻繁に買うよりも、丈夫で長く着られる服を必要なだけ少し買うだけでOKだ。出来れば、麻やオーガニックコットン、ウールやシルクなどの地球や人間にやさしい天然素材のモノや、草木染めなどの天然染料モノを選びたい。衣服に付いた化学染料や残留化学物質などが人間に及ぼす影響は実は深刻だからだ。

このような映画によって、いろいろと隠されている?ことや企業にとっては不都合なこと?が白日のもとにさらされ、明らかになっていくことは素晴らしいことです。今まで考えることすらしなかった、出来なかった事実をつきつけられ、どう思うかは各々の自由ですし、誰が良くて誰が悪いということではありません。ただ、きっかけを与えられることはありがたいことです。

また、ミニマリストしかり、時代は必要最小限でも豊かになれることを証明しつつります。大企業だけが儲かる今までの大量生産・大量消費の仕組みは多くの人たちは望みませんし、大量廃棄などによる環境汚染で地球も悲鳴を上げつづけています。

もし、この記事を読んでこの映画を観たいと思った方のために、映画上映スケジュールなどを下記にリンクを貼りますので、是非観に行っていただきたいし、行かれない方はいつかDVDになるでしょうからその時に観ていただきたいです。

最後に、日本上映によせて、アンドリュー・モーガン監督からのメッセージをリンクさせていただきます。

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「ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~」日本上映によせてモーガン監督からメッセージ

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